資金計画

新築戸建て注文住宅の別途付帯工事費とは?予算オーバーになる3つの原因と対策

こんにちは、ユースケです。

今回は、注文住宅の「別途付帯工事費」について詳しく解説します。

はじめて家を建てるとき、全体でどれくらい費用がかかるのか知りたいですよね。

費用をイメージしやすいのは、「坪単価×坪数=費用」という計算方法です。

しかし、坪単価の計算式から家づくりの予算を決めてしまうと必ずといっていいほど「予算オーバー」します。

それは、なぜなのか?実は「別途付帯工事費が坪単価に含まれていない」からです。

例えば、総費用3500万円の注文住宅を建てる場合、住宅の本体工事にかけられる費用は2500万円ほど。

1000万円程度が、別途付帯工事費や諸費用になるのです。

え?別途付帯工事費ってそんなにするの?別途付帯工事って何?」って思いますよね。

そこで今回は、別途付帯工事費について次のことを解説します。

新築戸建て注文住宅の別途付帯工事費とは?

土地を持っていない段階から、注文住宅を建てるために必要な費用は、主に以下4つです。

  • 土地代
  • 本体工事費
  • 別途付帯工事費
  • その他諸費用

もちろん土地をすでに取得している場合は、土地代はかかりません。

各費用をグラフで示すと、次のようになります。

上のグラフからわかるとおり、住宅を建てるには、住宅本体以外にも費用が必要です。

新車を買ったときにつく、ディラーオプションようなものですね。

別途付帯工事費は、敷地条件やビルダーによって違いますが、およそ本体工事費の20%前後(総費用の15%程度)が目安になります。

例えば、本体工事費が2400万円の家(30坪×坪単価60万円)の場合には、次の計算になります。

2400万円×20%=480万円

つまり、別途付帯工事費は500万円前後です。

ただし、ビルダーによって工事費の相場が異なり、地域によっても相場が違うので、あくまでも目安の数値として考えてください。

ここで見るべきは、「坪単価に別途付帯工事費が含まれない」という事実です。

それはなぜでしょうか?

多くの工務店やハウスメーカーは少しでも坪単価を安く見せたいですよね。

決してそれ自体が悪いことではありません。

なぜなら、別途付帯工事費は敷地条件で大きく違ってきます。

もし別途付帯工事費を含めて坪単価を計算すると、目安となる坪単価がいつまで経っても決められないからです。

大切なことは、施主であるあなた自身が家づくりのお金について、詳しくなることです。

知識が身につけば、坪単価にまどわされない家づくりができます。

知識が身につけば、業者まかせにならない家づくりができます。

大切なことなので2度言いましたが、あなたを助けてくれるのは「建設会社ではなく知識」です。

別途付帯工事とは

注文住宅の別途付帯工事とは、建築本体工事に含まれない工事のことです。

別途付帯工事費は、敷地条件や地域によって異なります。

こちらに、別途付帯工事に含まれやすい工事を一覧にしてまとめました。

別途付帯工事の一覧表
工事名 工事費の相場 工事内容
解体工事 80万円~150万円前後
※木造2階建ての場合
※工事内容による
建替えの場合、既存建物を解体する工事
造成工事 数百万円程度
※敷地条件による
宅地以外の土地を宅地にする工事
地盤改良工事 25万円~140万円前後
※敷地条件による
地盤が軟弱な場合に、強固な地盤に改良する工事
引込み工事 70万円~150万円前後
※敷地条件による
公共インフラを敷地内に引き込むための工事
水道・ガス・電気など
外構工事 100万円~300万円前後
※工事内容による
建物以外の外部となる部分の工事。
門や塀、アプローチなど
照明器具工事 20万円~50万円前後
※工事内容による
照明器具に関わる工事
一部の照明器具は本体工事や付帯工事に含まれる
カーテン工事 20万円~60万円前後
※工事内容による
窓周辺に関わる工事
カーテンやブラインドなど
空調設備工事 30万円~60万円前後
※工事内容による
空調に関わる工事
エアコンなど
その他の工事 ※工事内容による テレビ工事や側溝整備工事など
電気設備工事※一部 ※工事内容による 電気設備に関わる工事
屋内電気設備は本体工事に含まれることある
屋外照明など
給排水衛生設備工事※一部 ※工事内容による 給排水設備に関わる工事
屋内の給排水設備は本体工事に含まれることがある
屋外配管など
ガス工事※一部 ※工事内容による ガスに関わる工事
屋内のガス設備は本体工事に含まれることがある
屋外のガス給湯器など

別途工事と付帯工事の違いとは

別途付帯工事の定義は、工務店やハウスメーカーによってさまざまです。

そのため、別途付帯工事は「付帯工事」や「別途工事」とも呼ばれます。

当ブログでは読者目線で「家づくりのお金の話」がより分かりやすく伝わるように、以下のように呼び分けます。

別途工事とは

  • 工事の一部が建築本体工事に含まれることがある
  • 敷地条件や建築条件によって変動する費用
  • 施主自らが個別対応することができる費用(分離発注ができる)

付帯工事とは

  • 工事の一部が建築本体工事に含まれることがある
  • 敷地条件や建築条件によって変動する費用
  • 基本的には施主自らが個別対応できない費用(分離発注がむずかしい)

それぞれ詳しく解説します。

別途工事について

当ブログにおいて、定義する「別途工事」とは以下のようなものです。

別途工事とは

  • 工事の一部が建築本体工事に含まれることがある
  • 敷地条件や建築条件によって変動する費用
  • 施主自らが個別対応することができる費用(分離発注ができる)

別途工事は、敷地や建築条件によって発生することがある工事や、施主自らが個別に対応することができる工事です。

たとえばエアコンの取り付けや外構などは、ビルダーへ一括発注を行わず、施主自らが主導となって分離発注が可能です。

つまり住居の計画・施工と切り分けて考えることができるので、「別途工事」と考えられます。

具体的に当ブログで定義する「別途工事」は以下の工事です。

別途工事の一覧表
工事名 工事費の相場 工事内容
解体工事 80万円~150万円前後
※木造2階建ての場合
※工事内容による
建替えの場合、既存建物を解体する工事
造成工事 数百万円程度
※敷地条件による
宅地以外の土地を宅地にする工事
地盤改良工事 25万円~140万円前後
※敷地条件による
地盤が軟弱な場合に、強固な地盤に改良する工事
引込み工事 70万円~150万円前後
※敷地条件による
公共インフラを敷地内に引き込むための工事
水道・ガス・電気など
外構工事 100万円~300万円前後
※工事内容による
建物以外の外部となる部分の工事。
門や塀、アプローチなど
照明器具工事 20万円~50万円前後
※工事内容による
照明器具に関わる工事
一部の照明器具は本体工事や付帯工事に含まれる
カーテン工事 20万円~60万円前後
※工事内容による
窓周辺に関わる工事
カーテンやブラインドなど
空調設備工事 30万円~60万円前後
※工事内容による
空調に関わる工事
エアコンなど
その他の工事 ※工事内容による テレビ工事や側溝整備工事など

付帯工事について

当ブログにおいて、定義する「付帯工事」とは以下のようなものです。

付帯工事とは

  • 工事の一部が建築本体工事に含まれることがある
  • 敷地条件や建築条件によって変動する費用
  • 基本的には施主自らが個別対応できない費用(分離発注がむずかしい)

付帯工事は、おもに電気・ガス・水道などのライフライン関係の屋外設備に関する工事のことです。

ライフライン関係の設備工事は、住宅の壁や天井に埋め込まれるため、本体工事とあわせて計画する必要があるため、ビルダーが主導で計画する工事になります。

つまり住居の計画・施工に付帯する工事なので、「付帯工事」だと言えます。

具体的に当ブログにて定義する「付帯工事」とは、以下の工事です。

付帯工事の一覧表
工事名 工事費の相場 工事内容
電気設備工事※一部 電気設備に関わる工事
屋内電気設備は本体工事に含まれることある
屋外照明など
給排水衛生設備工事※一部 給排水設備に関わる工事
屋内の給排水設備は本体工事に含まれることがある
屋外配管など
ガス工事※一部 ガスに関わる工事
屋内のガス設備は本体工事に含まれることがある
屋外のガス給湯器など

新築戸建て注文住宅の別途付帯工事で予算オーバーになりやすい3つの原因

注文住宅の場合、「思っていたよりも別途付帯工事費が高くて、予算オーバーしてしまった!」ということがよくあります。

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい原因は、次の3つです。

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい3つの原因

  1. 初期の見積もり書は精度が低いことを知らない
  2. 広告宣伝の謳い文句で勘違いしてしまう
  3. 悪徳業者に高額請求されていることに気づかない

なぜ別途付帯工事費で予算オーバーしやすいのか、その理由について一つずつ詳しく解説します。

原因①初期の見積もり書は精度が低い

まず別途付帯工事費について、最初に理解しておくべきことは、「見積もりの精度」です。

基本的に、最初にもらう見積書の数字はかなり精度が低いです。

それは、「積算」と呼ばれる作業が正確にできていないためです。

積算とは、工事に関わる経費や材料費などを足し合わせて工事費の原価となる数字を計算する作業です。

そして積算で求めた数字に、企業の利益を上乗せした数字が見積もりです。

たとえば、家づくりを始めた頃に工務店からもらった見積書では、敷地が決まっていないため、積算の精度が高くありません

その後、計画が具体的になればなるほど積算の精度が上がり、見積もりの精度も上がっていきます。

そのため、最初の見積もりででた別途付帯工事費と最終的に支払う別途付帯工事費が違ってくるのです。

この精度の違いが、別途付帯工事費で予算オーバーしやすい原因の一つです。

原因②広告宣伝の謳い文句で勘違いする

別途付帯工事費で予算オーバーしてしまう原因の2つ目が、「広告宣伝の謳い文句」です。

たとえば、「坪単価40万円から!」「今の家賃でマイホームが建てられる!」などの謳い文句をチラシや広告で目にすることがあります。

坪単価は見せ方しだいで変わる数字なので、注意してください

坪単価を安く見せる方法の一つが、「本体工事費を安く、別途付帯工事費を高く」設定するという方法です。

広告宣伝の謳い文句に乗せられた家づくりを始めた場合、節約だ!節約だ!と始めた家づくりが、かえって高い買い物になってしまうのです。

「安物買いの銭失い」とは、まさにこのことですね。

正しい家づくりとは、「最安値を求めることでなく、適正価格で買う」ことです。

原因③悪徳業者に高額請求される

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい原因の3つ目は、「悪徳業者」です。

家づくりは、とても複雑な買い物です。

複雑な買い物では、売主の立場が買主の立場よりも強くなる傾向があります。

たとえば、スーパーにあるリンゴ1つの値段は、誰でもイメージできます。

一方、家の配管工事費は専門的な知識がなければ相場がわかりません。

これが「情報の非対称性」です。

別途付帯工事のほとんどは、工務店ではなく、専門の資格や権利を持った業者が行います。

そのため、専門的な知識がなければ相場が読めないのです。

この複雑さを利用するのが、「悪徳業者」です。

悪徳業者は、素人の施主が相場を読めないことを良いことに、法外な高額請求をしてくるのです。

もちろん「工務店やハウスメーカーは、すべて悪質だ」とは言いません。

一部の悪徳業者がやってしまう悪質な行為で、業界全般がそのような疑いの目で見られることはとても残念なことです。

注文住宅の別途付帯工事費で予算オーバーしないためにすべきこと

別途付帯工事で予算オーバーする原因は、以下3つでした。

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい3つの原因

  1. 初期の見積もり書は精度が低いことを知らない
  2. 広告宣伝の謳い文句で勘違いしてしまう
  3. 悪徳業者に高額請求されていることに気づかない

では、予算オーバーしないために施主に何ができるのでしょうか?

それは、「知識を身につけ、事前に計画して、適正価格で買う」ことです。

具体的には次の3つのステップで、別途付帯工事について学び、行動しましょう。

予算オーバーしないためにすべきこと

  • 別途付帯工事についての知識を身につける
  • 事前の資金計画をしっかり行う
  • 最安値ではなく、適正価格で買う

では一つずつ、詳しく解説します。

対策①別途付帯工事についての知識を身につける

まず最初にできる対策は、「別途付帯工事について詳しくなる」ことです。

詳しくなるというのは、工事内容についてほどほど理解ができている状態です。

ただし、あなた自らが工事できるほど詳しくなる必要はありません。

  • 別途付帯工事とは何か
  • 別途付帯工事に含まれる工事は何か
  • どのような工事内容なのか
  • どれくらいの費用がかかる工事なのか

以上のことが理解できていれば、問題ありません。

対策②事前の資金計画をしっかり行う

知識が身についたら、次は「事前計画をしっかり立てる」必要があります。

注文住宅の場合、事前計画が必要なのは「別途付帯工事費」だけではありません。

本体工事や別途付帯工事、諸費用を含めた「総費用」で資金計画を立てることが大切です。

なぜなら全体の資金計画を立てることで、家づくりの判断基準ができるからです。

  • 別途付帯工事費にどれくらいの予算を割けるのか
  • いくらまでなら別途工事費を払えるのか

工事費が高いか低いかを判断するには、工事費単体で見るのではなく、全体のバランスで考えるべきです。

資金計画を行い、全体の予算配分ができれば、別途工事費についても判断しやすくなります。

そして資金計画と一緒に考えるべきは、「住宅ローン」です。

どれだけすばらしい資金計画でも、住宅ローンで失敗する可能性があります。

例えば、住宅ローンを組み終わったあと、追加の別途付帯工事が発生した場合は手持ちの資金から支払うことになります。

手持ち資金を減らしすぎると、新居生活で生活費のやりくりがたいへんになるのでおすすめできません。

なので、別途付帯工事費を住宅ローンにしっかりと組み込めるように資金計画をする必要があるのです。

対策③最安値ではなく、適正価格で買う

「知識が身について、事前計画も立てられた!」しかしこれで安心してはいけません。

最後にできる対策は、「適正価格で買う」ことです。

買い物をするとき、物にはさまざまな価格があります。

  • 定価、原価
  • 最安値、最高値、相場
  • 小売希望価格、売出し価格
  • 割引価格、キャンペーン価格

ではどの価格で買えば良いのでしょうか?

正解は「適正価格」です。適正価格がいくらなのか?それは人によって違います

しかし、基本知識が身について、事前計画ができていれば、あなたにとって「いくらが適正なのか」という判断は、それほど難しいものではありません。

相手が決めた価格で「買わされる」のではなく、自分が決めた適正価格で「買う」

これができれば、注文住宅の家づくりで後悔することはありません。

【まとめ】注文住宅の別途付帯工事費で予算オーバーしないために

注文住宅の「別途付帯工事費」について、工事の内訳や相場の費用を解説しました。

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい原因は、以下の3つでした。

別途付帯工事費で予算オーバーしやすい3つの原因

  1. 初期の見積もり書は精度が低いことを知らない
  2. 広告宣伝の謳い文句で勘違いしてしまう
  3. 悪徳業者に高額請求されていることに気づかない

また予算オーバーしないためには、事前の資金計画がとても重要になります。

有名な明治期の敎育家「松田松陰」は、次のように語っています。

夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。

松田松陰 武士・思想家・教育者/1830〜1859

マイホームという大きな夢を叶えるには、理想・計画・実行が必要です。

ぜひ、今日から理想の家を建てるための計画を立てましょう!

 

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