こんにちは、ユースケです。
今回は、「新築一戸建て注文住宅の電気設備工事」について解説します。
家の電気設備と言えば、コンセントや分電盤がイメージしやすいですよね。
賃貸アパートやマンションでは、コンセントやスイッチが使えるのは当然のこと。
しかし、注文住宅のコンセントは、1つ増やすだけでも事前の打ち合わせが必須です。
そして電気配線は壁や天井に埋め込まれるため、完成間近に変更すると、多額の費用が発生してしまいます。
また家電製品やパソコン周辺機器など、電気機器はライフスタイルによって違います。
つまり最適な電気設備というのは、あなたにしか分からないのです。
電気が使いやすい家を建てるためには、あなた自身が電気設備について詳しくなる必要があるのです。
こちらの記事を読むことで、次のようなことが分かります。
注文住宅の電気設備工事とは
電気工事とは、住宅などの建物で恒久的に電気を使用できるようにするための工事です。
そして、電気を使うための設備や電気を使用して動く設備を電気設備と言います。
電気設備工事は、電気工事のなかでも配線を主とする工事です。
配線工事には、道路の電線から宅地内に引き込む工事を「宅外工事」、住宅内に電線を配線する「宅内工事」の2種類があります。
また電気設備を安全で快適に使用するための電気工事は、国家資格である「電気工事士」の資格がなければいけません。
特に注文住宅では、600V以下で受電する設備を取り扱うことができる「第二種電気工事士」の資格が必要です。
電気設備工事は事前計画が大切!知っておくべき3つの理由
注文住宅の電気設備工事は、専門的な知識がなければ判断できないことがたくさんあります。
そのため、「後から変更すればなんとかなる!」と思ってしまう方がいます。
しかし、現場合わせで電気設備工事を行う場合、変更のたびに多額のコストがかかります。
もちろん着工してから、現場で打ち合わせを行うことになりますが、設計段階でしっかりと計画することが大切です。
事前計画を慎重に行うべき理由は、次の3つです。
事前計画が重要な3つの理由
- 時間が経つほど変更が難しくなる
- 計画なき電気設備はたこ足配線や配線地獄のもと
- 電気設備の良し悪しが暮らしの広がりを決める
では1つずつ解説します。
理由①時間が経つほど変更が難しくなる
まず前提として、電気設備工事は家づくりの後半になるほど変更が難しくなります。
なぜなら、多くの電気設備が壁や天井に埋め込むようにできているためです。
電気配線の他にも、コンセントBOXやスイッチBOXなども壁の内部に埋め込みます。
壁の内部に埋め込むためには、内装仕上げまでに電気設備の「仕込み」が必要になります。
そして、設計図通りに「仕込み」と「仕上げ」を行わなければいけません。
もし「設計図なしの現場合わせ」で電気工事をすると、無駄な穴ばかりを開けることになります。
つまり「設計図にない電気設備は工事できない」ということです。
したがって、家づくりを始めてから時間が経つほど、電気設備の変更が難しくなるのです。
理由②計画なき電気設備はたこ足配線や配線地獄のもと
例えば、あなたが今住んでいる住居ではこのような光景を目にすることがありませんか?
※説明用写真
いわゆる「タコ足配線」。
タコ足配線は、漏電の危険性が高まるだけでなく、見た目としても美しくありませんよね。
タコ足配線になる理由は、計画もなしに電化製品をたくさん使っているからです。
せっかく新居の生活がスタートしても、タコ足配線がいたるところにあるような生活はしたくないですよね。
つまり、計画なき電気設備工事は、新居を配線地獄にしてしまうのです。
理由③電気設備の良し悪しが暮らしの広がりを決める
事前計画が重要な理由3つ目は、あなたの将来的な暮らしの広がりを決定するからです。
例えばロボット掃除機や乾燥機付き洗濯機など、今後も家電製品はさらに便利なものが生まれてくるでしょう。
そんなとき、あなたの新居がしっかりとした電気設備を備えていなければ、便利な生活がやってくることはありません。
つまり、将来的な生活を見越して電気設備を計画する必要があるということです。
事前計画のためにできること
以下3つの理由から、注文住宅の電気設備工事では、「事前計画」が必須です。
- 時間が経つほど変更が難しくなる
- 計画なき電気設備はたこ足配線や配線地獄のもと
- 電気設備の良し悪しが暮らしの広がりを決める
注文住宅の家づくりを成功させるためには、しっかりとした計画を立てることが大切です。
注文住宅の電気設備工事で注意すべき3つのこと
注文住宅の電気設備工事を行う上で注意すべきことが、3つあります。
- 直前変更時の契約内容を確認する
- 有資格者の業者であることを確認する
- 通電確認を行ってもうう
では一つずつ詳しく解説します。
注意点①直前変更時の契約内容を確認する
直前変更とは、主に上棟前や上棟後の事前打ち合わせのときに行う変更です。
上棟後には、必ずと言っていいほど変更・修正したい箇所が出てきます。
このとき、直前変更でどれくらいの費用が発生するのかが重要です。
コンセントを増設したい場合には、事前変更であれば5000円~1万円以下の費用で増設ができます。
しかし、内装仕上げを終えてから変更や増設を行った場合には、2倍~3倍程度の多額な費用が発生してしまいます。
さらに仕上げ後に変更した場合は、仕上がりの見た目が悪くなります。
つまり、電気設備工事では「直前にどれだけ安く変更できるのか」が重要になってきます。
変更費用は、契約内容によって違うので事前確認をおすすめします。
注意点②有資格者の業者であることを確認する
電気工事による事故や犯罪を防ぐために、「電気工事法」という法律があります。
電気工事法では、一部の作業を除く電気工事は有資格者しか認められていません。
最近ではYoutubeなどで電気工事士の方が、解説動画を出しているため、「素人でもできるのでは?」と勘違しやすいです。
有資格者しか工事ができない理由は「電気工事が命の危険をともなう工事」だからです。
例えば日本の家庭用電力は、100Vです。
これは世界標準である220~240Vと比べると低い数値ですが、十分に感電死する可能性があります。
そのため、無資格者が電気工事を行うことが禁止されているのです。
電気工事を業者に依頼する場合でも、業者が有資格者であることを必ず確認しましょう。
電気工事法に関わる国家資格
電気工事法は国によって定められた法律のため、国家資格の取得が義務づけられています。
具体的には、以下の4つの国家資格があります。
- 第2種電気工事士
- 第1種電気工事士
- 認定電気工事従事者
- 特殊電気工事資格者
注文住宅の電気設備工事では、第2種電気工事士の資格があれば問題ありません。
無資格者ができる電気工事
注文住宅の電気工事に関わるすべての作業に、資格が必要なわけではありません。
以下のような作業範囲ではあれば、無資格者でも問題ありません。
- 500kw未満のソケットやローゼットで使用するもの
- 500kw未満の蓄電池で使用するもの
- 500kw未満のブレーカーやヒューズで使用するもの
- インターホンや豆電球など
つまり照明器具やエアコン(一部)の取替や取付に関する作業は、無資格者でも可能です。
壁の内部にあるコンセントや配線は、法律での規制対象なので注意してくださいね。
無資格者の罰則
電気工事法では、無資格者が規制された電気工事を行った場合、「3万円以下の罰金、または3カ月以下の懲役」が科せられます。
また電気工事業法でも、無登録・無更新の営業を行った場合、「10万円以下の罰金、または1年以下の懲役」が科せられます。
罰則以上に命の危険を伴う電気工事を、無資格の素人が行うのは大変危険ですので、絶対にやめましょう。
どうしても無資格でやりたい方は、すべて自己責任ですね。
注意点③通電確認を行ってもうう
私たちの生活はますます電気を使うことが当たり前になってきました。
そのため、注文住宅のコンセントやスイッチなどの電気設備も以前に比べて複雑さが増しています。
電気工事士さんはプロですが、やはり人間にはミスがつきものです。
どんなにベテランの方であっても、ミスはあります。
配線ミスは火災などのリスクにつながるため、必ず通電確認を行ってもらうようにしましょう。
注文住宅の電気工事!内訳や含まれる工事の一覧
電気設備工事費は、次のような細かな工事費の合計になります。
- 電気設備工事費
- 弱電設備工事費
- 照明設備工事費
では1つずつ、工事の内容や費用の内訳について解説します。
工事費①強電設備工事費
まず最も大きな費用は、強電設備工事費です。
注文住宅の強電設備工事では、次のような電気設備を含めた配線工事を行います。
強電設備工事で設置する電気設備
- 屋内配線
- ブレーカー
- アース
- スイッチ
- コンセント
工事費②弱電設備工事費
電気設備には、感電事故の恐れがない電気設備を工事する「弱電設備工事」があります。
注文住宅の弱電設備は次のようなものです。
弱電設備工事で設置する電気設備
- 電話回線
- テレビアンテナ配線
- インターネットLAN配線
- インターホン
- 防犯カメラ
- 人感センサー
- 家庭用火災報知器
- 電力コントローラー
- アクティブソーラー
- 24時間換気システム
弱電設備は、情報の伝達や機器の制御に利用される電気設備です。
弱電設備のうち、電話・テレビ・インターネットなどは別途工事費に含まれることが多いので、契約内容をしっかり確認しなければいけません。
最近では、スマートハウスなどでIOT機器が普及しています。
今後も、弱電設備の重要性や多様性が高まっていくため、弱電設備にもしっかり対応できる家づくりが大切です。
工事費③照明設備工事費
住宅の電気設備のなかでも、「照明設備」は個人のライフスタイルによって大きく異なります。
例えば、団らんを大切にしたい家族は、リビングダイニングを中心に照明の明るさを決めていくべきです。
一方、個人の活動(勉強や仕事)を大切にするなら、それぞれが好む明るさがあります。
つまり、家族のライフスタイルに合わせて適切な照明を計画する必要があるということです。
注文住宅では、水回りや廊下などの照明器具が建築本体工事費に含まれることが多いです。
一方、リビングや個室の照明器具が建築本体工事費に含まれていないことが多いため、注意が必要です。
木造戸建て注文住宅の電気設備工事の流れ
電気設備工事の流れは、木造住宅と木造以外の住宅では工事の流れが異なります。
ここでは、木造住宅の電気設備工事の流れについて解説します。
具体的に、次のような流れで電気設備工事が進められます。
電気設備工事の流れ
- 事前打ち合わせ
- 配線とBOXの仕込み
- 開口を開ける
- 電気器具の取り付け
では1つずつ詳しく解説します。
ステップ①事前打ち合わせ
まず事前の打ち合わせは、住宅の設計時と建築現場の2度あります。
設計時には、図面上で電気設備について説明があり、あなたの生活スタイルに合わせた計画を行います。
その後上棟後に、電気設備について現場で再確認が行われます。
実際に着工してみると、図面上では見えなかったものが見えてくることがあります。
そのため、電気設備も現場での変更を行う場合があります。
この時点で電気設備を変更する場合は、現場対応がしやすいため、変更コストも比較的安く抑えることができます。
ステップ②配線とBOXの仕込み
電気配線は、壁や天井の下地を組み上げる前に行う必要があります。
ステップルと呼ばれるコの字型の釘を用いて、住宅の柱や梁に電線をはわせて配線していきます。
回線を分岐される場合には、ジョイントと呼ばれる装置を使って、1つのケーブルから複数の配線へと分岐させます。
このとき、メンテナンスや改修工事を見越した優秀な電気工事士の場合には、ジョインボックスと呼ばれる装置を使っています。
※ステップルとジョイントボックス
ジョイントボックスにジョイント部分を収めることで、どこで分岐しているのかわかりやすくなるためです。
さらに木造住宅では、大工さんの他にもさまざまな業者が1つの建築現場で働くことになります。
優秀な電気工事士さんほど、他の業者に邪魔にならないようにきれいな電気配線を行います。
この工程以降は、基本的に電気設備の変更が難しくなるので注意してください。
ステップ③開口を開ける
住宅の下地が組み上がってから、壁や天井のボードに開口を開けていきます。
開口サイズが大きすぎた場合には欠陥となるため、慎重な作業が求められる工程でもあります。
最近では、「ホルソー」と呼ばれる電動工具を使うことで安く確実に作業が進められるようになりました。
開口を開ける作業は、仕上がりの見た目に直結する作業なので失敗できません。
開口を開けるときに電気設備を変更する場合は、仕上がりを妥協するしかありません。
なので、ステップ②の仕込みまでに変更や修正することをおすすめします。
ステップ④電気器具の取り付け
内装の仕上げ工事が終わってから、「プレート」と呼ばれる器具を固定するフレームを取り付けます。
最後に私たちが普段目にしているコンセントやスイッチなどを取り付けて完成です。
この時点での電気設備の変更は、おすすめできません。
電気設備工事で設置される配線や機器の種類
電気設備工事で設置される配線や機器について、さらに詳しく解説をします。
少し専門的な情報となるため、必要の方はない方はこちらから読み飛ばしてください。
では具体的に、次のような電気設備について解説します。
今すぐ知りたい設備機器があれば、クリックして今すくご覧ください
電気設備の一覧 | |
強電設備 | 屋内配線 |
分電盤 | |
アース | |
スイッチ・コンセント | |
照明器具 | |
弱電設備 | 電話回線 |
インターホン | |
防犯カメラ | |
住宅用火災報知器 | |
24時間換気システム |
屋内配線
配線工事は、天井裏に配線する「照明器具用の配線」と壁裏に配線する「スイッチ・コンセント用の配線」、テレビ・電話・LAN電線以外を通す「CD管・TL管」の3種類に大きく分けることができます。
そして屋内配線で重要となるのは、電気設備の「数」「位置」「高さ」「種類」です。
室内配線では、これら4つの要素がしっかりと計画された上で現場施行を行うことになります。
また屋内配線では、VVFケーブルと呼ばれる電線を建築の梁や根太にステップルという特殊な釘で固定して配線します。
施主にとって新居の住みやすさを決める大切な「室内配線」ですが、一部のハウスメーカーや工務店はそれほど真剣に計画してくれません。
その理由は、電気工事を下請け業者に委託しているケースが多いためです。
なので施主となるあなた自身が自ら知識を身につけて、業者まかせにしない家づくりをする必要があるのです。
業者まかせにして後悔したくない方は、こちらからメルマガ登録いただくと施主のための家づくりに関する情報を配信します。
分電盤
分電盤は文字通り、電気を分けるための装置です。外部から引き込んだ電力を、住宅の各階・各部屋に分配します。
住宅用のブレーカーは、次の3つのパーツで構成されています。
パーツ名 | 役割 |
サービスブレーカー | アンペアブレーカーとも呼ばれ、電気会社と契約したアンペア数を超える電気量を使ってしまった場合に、電気の供給を遮断する役割 |
漏電ブレーカー | 家のどこかで漏電が起きたときに、電気の供給を遮断するブレーカー |
分岐ブレーカー | 回路ごとの電気を管理するブレーカー |
近年の新築では、より多くの家電製品や照明器具を使うようになったため、住宅内の回路数も増えています。
新築戸建ての一般的な注文住宅であれば、15~25回路の回路に分岐させることをおすすめします。
アース
アース線は、家電製品のコンセントプラグ側についている線です。
アースをつながなくても家電製品を使うことができますが、漏電の危険性が高まります。
基本的に電気は、電気抵抗が少ない方に電気が流れる習性があります。
もし漏電している電気器具に人が触れたとき、人の体は抵抗が少ないため電気が流れてしまい、感電事故になります。
アースがつながっている場合には、電気抵抗がない地面に向かって一直線に電気が流れます。
つまり「アース」は万が一のときに人体を守ってくれる装置です。
そして漏電が発生したことを知らせてくれるのが、「漏電ブレーカー」です。
ではこのとき、どのような仕組みで漏電を知らせてくれるのでしょうか?
こちらの図を見てください。
漏電が発生した場合、アース付きのコンセントから直接地面に電気が流れます。
漏電した電力は地面の中を通って、柱状トランスに電力が伝わります。
すると、ブレーカーを経由しない電気回路が完成して、住宅内の回路に電力差が生まれます。
この電力差を感知して、電力の遮断を行うのが漏電ブレーカーになります。
つまり、漏電ブレーカーの機能があっても、各家電製品のアースがしっかりと機能してないとブレーカーが落ちないということです。
以下のような家電を配置する場所には、アース付きコンセントを設置してもらいましょう。
アースが必須な家電
- 洗濯乾燥機
- 冷蔵庫
- IHクッキングヒーター
- 食洗機
- 電子レンジ
- 温水洗浄便座
- エアコン
- PC精密機器
- 電気温水器
- 給湯器
- 外部照明
- 外部コンセント
スイッチ・コンセント
分電盤から分岐させた電気は、各回路に供給されていきます。
このとき、1回路の最大使用容量は1500Wです。
例えば、エアコン・洗濯機・食洗機・ドライヤーなどは1000W以上の消費電力があります。
そのため、各電化製品ごとに専用回路を設ける必要があります。
最近の電化製品には、200Vのものが増えているため、消費電力の大きな家電製品を使用する場合には、200V対応コンセントの設置をおすすめします。
またスイッチやコンセントの配置を計画するときは、数や高さ、種類をしっかり確認すべきです。
照明器具
照明器具は、「直結タイプ」と「引掛タイプ」の2つに分けることができます。
直結タイプは電気配線に直接接続するため、電気工事士の有資格者でなければ作業ができません。
直結なので、とてもきれいな仕上がりになりますが、メンテンスなどが難しいという欠点もあります。
一方引掛タイプは、無資格者でも取付作業ができる照明器具です。
賃貸アパートやマンションなどの天井に設置されている場合が多いです。
注文住宅では、照明器具の種類も増えているため、引掛タイプの方がおすすめです。
照明器具には、他にもダクトレールやコープ照明などさまざまな選択肢があります。
ここに注意
注文住宅の電気設備を計画するとき、「照明計画」は後回しになりがちです。
現代では16時から24時ごろまで人工的な照明の下で暮らす私たちにとって、照明器具なしで生活することは考えられません。
照明は、家族の雰囲気や行動が大きく変わってしまうほど重要な要素です。
「明かりを制するものは、暮らしを制する」と言っても過言ではないでしょう。
しかし、施主の多くは、照明に関する知識が不足しているため、業者に任せがちです。
照明の知識を身につけるだけで、賃貸アパートやマンションでは実現できなかった「表現豊かな生活がかんたんに」実現できます。
電話配線・テレビアンテナ配線・LAN
電話配線・テレビアンテナ配線・LANは、専門業者が工事の完成間近に設置します。
現場大工が先に空配管(中身のない空洞の配管)を設置することで、専門業者の配線を行いやすくします。
先行配管には、「CD管」や「TL管」と呼ばれ、曲げに強いジャバラ管が一般的に使われています。
ここで電話・テレビ・LAN配線の電気工事について、1つ注意点があります。
それは、「設置費用の範囲をしっかり確認する」ことです。
例えば、テレビアンテナ用の空配管を設置するだけでも見積書には、「テレビ配線」と記載されていることがあります。
実際には、大工が空配管が設置されているだけなので、テレビをコンセントに挿しても映像は何も映りません。
テレビを見るには、テレビアンテナを設置するための工事が別途必要になるのです。
この場合は、工務店との契約ではなく、専門業者との契約が必要になります。
もちろん親切な工務店では、設置内容までしっかり説明が行われるので安心してください。
電気設備工事では、どの部屋でテレビやインターネットを使いたいのか事前に計画する必要があります。
施工完了後に追加工事すると、多額の費用がかかるので注意してくださいね。
インターホン
来客や防犯でとても便利なインターホンですが、「どこに設置するのか」が重要です。
一般的にはリビングなどの人が多くいる場所に設置することが多いでしょう。
インターホンの親機を目立つ場所に設置していまうと、見た目が良くないためニッチがある場所に設置するのがおすすめです。
かつてのインターホンは、基本的に有線のものが主流だったため、電気設備工事の配線が必ず必要でした。
しかし近年では、無線のインターホンも増えており、必ず配線をしなればいけないわけではありません。
ただしインターホンの電源については、注意が必要です。
インターホンの電源には、以下の3つの種類があります。
パーツ名 | メリット | デメリット |
電源直結式 | 見た目がスッキリ | 設置に国家資格が必要 |
電池式 | 設置が簡単 | 電離交換が面倒 |
電源コード式 | 資格がなくても設置可 | 見た目がスッキリしない |
いずれの方式もメリット・デメリットがあるため、あなたの好みに合わせて適切なインターホンを選ぶことをおすすめします。
防犯カメラ
戸建て住宅を建てたあと、気になるのが「防犯」です。
防犯に費用を当てるほど予算に余裕がないことが多いですが、子育てや育児など小さい子どもがいる家庭では、防犯対策が必須です。
そこで特に役立つのが、「防犯カメラ」です。
最近では防犯カメラも有線・無線など安価なものから高価なものまであります。
防犯カメラを設置するとき、電源の確保が必要になります。
住宅用火災報知器
火災報知器は2006年に改正された「消防法」により、全国の新築住宅で設置が義務づけられました。
設置が義務づけられている場所は、「寝室」と「寝室がある階の階段上部」です。
複数の部屋に設置されている火災報知器をワイヤレス接続することで、連動して作動するものもあります。
住宅用火災報知器の取付に、資格は必要ありません。
ただし、100V式の住宅用火災報知器を設置する場合には、配線工事が必要になるため、電気工事士の資格が必要になります。
24時間換気システム
新築の住宅では、24時間換気システムの導入が2003年の建築基準法改正後から義務付けられています。
義務化された理由は、化学物質が多く含まれてた新建材が普及し、シックハウス症候群などのトラブルになったためです。
もちろん化学物質の少ない自然素材の注文住宅でも、新築であれば24換気システムの設置を行わなければいけません。
具体的には、換気用のファンやダクトを屋根裏や外壁側に取り付けます。
このとき、電源の確保などに配線が必要になるため、換気システムの導入は電気工事と同時に行います。
【まとめ】注文住宅の電気設備工事で家の使いやすさが決まる
現代の私たちは、電気がなければ何もできないほど、電気に依存した生活を送っています。
そして、電気の使い方一つで、あなたの新居生活は便利にも不便にもなります。
注文住宅で電気工事費について検討するとき、重要なことは「あなたがどのような暮らしを思い描くのか」ということです。
暮らし方が決まれば、必要な電気設備が決まります。
電気設備が決まれば、電気工事費が決まるのです。
もちろん電気設備以外にも、家づくりで費用をかけたい場所がありますよね。
ただ電気設備など住宅の見えない箇所ほど、変更や追加工事に多額な費用が発生します。
一方「目に見える箇所ほど、後からなんとでもなる」というのも事実です。
電気工事を業者まかせにして、のちのち後悔しないためには、家づくりの知識を身につけることをおすすめします。